契約書の作り方

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1:契約書の目的 2:契約書の効力・メリット 3:契約書の作り方 4:特殊な契約書
5:契約書の製本 6:契約の無効・取消・解除 7:契約書Q&A 8:契約書のひな形

契約書の作り方

契約書の作成において、あらゆる契約に通じる共通条件として、以下のようなものがあります。
契約書の構成 ・ 契約書の署名と捺印 ・ 契約書に記載すべき条項 ・ 契約書に記載してはならない条項




(1)契約書の構成

契約書の構成は以下の項目により成り立っております。


①タイトル(表題)
タイトルは契約の内容を表現するものであり、特段決まりはありません。 「契約書」としていなくても、示談書・念書・合意書・同意書・覚書などでもどのようなタイトルをつけても効力に影響はありません。
すべて「契約書」です。
ただし、契約の目的を明らかにし、紛争を予防するために、出来る限りは具体的に表示した方がいいです。
※例:売買契約書、賃貸借契約書、金銭諸費貸借契約書、など

一般には、当事者の一方のみが義務を負う場合などに、1通のみ作成して差し入れる書面として「念書」と「覚書」の表題が多く使われています。
②印紙
契約書には、印紙税法の定めに従い、不動産の譲渡・金銭消費貸借・ 請負契約などには、印紙を貼付する必要があります。 契約書が2通以上ある場合はそれぞれに印紙の貼付が必要です。 なお、印紙が貼付されていなくても契約そのものは無効とはなりません。
印紙税額一覧表はこちら
③当事者の表示
契約の当事者を表示(記載)します。 個人の場合は住所と氏名、法人の場合は本店所在地・商号・代表者名 などを記載して当事者を特定します。 一般的には「甲」と「乙」、当事者が2名を超える場合には「丙」「丁」と して特定します。
④前書き(前文)
なくても問題はありません。 当事者を示し、契約の主たる目的を表示します。 ※例:甲乙間により、本日以下のとおり賃貸借契約を締結した。など
⑤本文
契約の内容を記載します。 契約自由の原則により、基本的には記載方法は自由ですが、内容は 法律により制限されているものもあります。 体裁は、一般的には法律の条文のように、「第1条」「第2条」などと区 切り、以下のような項目ごとに記載していきます。
ア:目的条項
(例:お金を貸し渡した、建物を賃貸借した、商品を売買した、)
イ:契約内容
(例:利息は年率18%、賃料は月額8万円、代金は金15万円、)
ウ:契約期間
(例:平成○○年○○月○○日より平成○○年○○月○○日までとする)
エ:履行方法
(例:毎月末日限り、利息と元本1万円づつ支払う)
オ:不履行時の定め
(契約解除や違約金・遅延損害金の定めなど)
※:その他、契約書内での用語の意味を特定し、誤解を予防するために 「定義条項」などを使用する場合があります。
この場合、「本契約でにおいて、次に掲げる用語は次の定義によるものとする。」などと記載してから、用語の意味を定義していきます。
また、上記の項目を各条の前や後ろに条文見出しとしてつけると見やすくなり、検索しやすいものになります。
※例:第1条(目的)、第2条(契約内容)、など
各条のなかで、文章を細分化する場合には、1項、2項、と分けます。
第●条
1項 ~~~
2項 ~~~

また、各項のなかで文章を細分化する場合には、1号、2号、と分けます。
第●条
1項 ~~~
1号 ~~~
2号 ~~~
2項 ~~~
1号 ~~~
2号 ~~~

⑥後書き
契約意思の確認および契約書の作成枚数などを記載して終了します。
※例:上記のとおり合意したので、本契約書原本を2通作成し、各1通づつ保持する。など
⑦作成年月日
絶対にこの事項は記載して下さい。
日付の記載を欠く契約書では、いつの時点での契約なのか特定が不可能なため、将来過分な紛争の原因となりかねない、欠陥契約書となってしまいます。
⑧署名(記名)・押印
当事者の意思確認として、署名(記名)・押印します。
個人の場合には氏名のあとに印鑑を押印、
法人の場合には会社名・代表者名のあとに印鑑を押印致します。
⑨物件の表示(目録)
契約の目的物を特定する必要がある場合には、物件の表示を記載、または物権目録を作成します。
そして、電化製品であれば型番、不動産であれば登記事項、などの詳細を記載します。


(2)契約書の署名(記名)と捺印(押印)


記名とは、パソコンやプリンターによる印字のことをいいます。
署名とは、直筆による自署のことをいいます。
重要な契約では、出来る限り署名(自署)の方が望ましいのは当然です。


押印とは、署名(記名)のあとに印を押すことです。
不動産などの高額なものの場合や、公正証書作成の場合は実印による押印を行います。
※実印による押印の場合には、印鑑証明書の添付が原則として必要です。


捺印(なついん)も押印(おういん)と同義語ですが、最近は押印という語が一般に使用されています。


また、押印は署名の横に押すものばかりではなく、いくつかの種類があります。
※契印、割印、消印、捨印、訂正印、止め印、など


①契印 契印とは、ひとつの契約書が2枚以上となる場合に、その複数枚の書面が1つの文書であることを証明するために、それぞれの書面にまたがって押す印のことをいいます。
例えば、1ページと2ページの間にまたがって押すような場合をいいます。
これにより、文書の差し替えや落丁による紛争を未然に予防する効果があります。

②割印 割印とは、正本と副本など、2つ以上の文書で、それらの書面が相互に関連している場合に、書面と書面を重ね、それらの書面にまたがって押す印のことをいいます。
例えば、甲と乙の正本2通を重ね、またがって押すような場合をいいます。

③消印 消印とは、契約書に貼付した印紙と書面にまたがって押す印のことをいいます。
印紙税法に従い、課税文書では印紙の貼付および消印が義務づけられています。

④捨印 捨印とは、後日記載の誤りを訂正する場合などに備えて、契約書の余白部分に当事者全員が事前に押しておく印のことをいいます。
しかしながら、これは契約書の内容を変更出来るという意味ですから、契約書での乱用は危険です。
出来る限り使用しないで済ませられた方がよいことは間違いありません。

⑤訂正印 訂正印とは、記載の誤りや内容の変更が必要となった場合、契約当事者により、当該訂正部分に変更を行い、権限のあるものによって変更がなされたことを証するために押す印のことをいいます。

⑥止め印 止め印とは、契約書上の文章の末尾の空白や数字などの記載のあとの空白を埋めることにより、後から余計な書き加えがされないようにするために押す印のことをいいます。


(3)契約書に記載すべき条項


紛争(トラブル)の発生を未然に予防するため、記載すべき条項、または記載しておいた方がよい条項として、一般に使用されているものは以下のとおりです。
これらは「契約の一般条項」といわれてます。


①契約期間
契約日、または契約期間を定めておきます。

②履行期限
履行日、引渡日、履行期間(効力発生日と終了日)、の定めです。

③不履行時の定め(解除・解約・違約金・損害賠償の定め
履行が出来なかった場合、または遅延した場合、不完全だった場合にどうするか、の取り決めをしておきます。
※違約金や損害賠償の定めをする「過怠約款」と契約そのものの効力を喪失させる「失権約款」の2種類があります。

④期限の利益喪失に関する定め
一定の猶予期間(期限の利益)を、どのような場合に喪失させるかの定めです。

⑤保証・連帯保証の定め
保証人や連帯保証人をつける場合にはその旨をきちんと記載しておく必要があります。

⑥危険負担の定め
主に売買契約等で、契約日と引渡日が異なる場合など、その間に目的物が破損や滅失した場合にどちらがその損失(危険)を負担するかの定めです。

⑦瑕疵担保責任の定め
目的物に瑕疵があり、契約の目的を果たせない場合などの取り決め(減額とするのか契約解除とするのか)

⑧諸費用の負担の定め
目的物の引渡・運搬にかかる費用、登記費用、引渡までの保管費用、等の負担に関する定めです。

⑨秘密保持に関する定め
事業上の企業機密、発明・考案・意匠・著作、独自ノウハウ等、必要に応じて外部に公開することを禁じる旨の定め、および公開や漏洩がなされた場合の定め、等をしておきます。

⑩裁判管轄
契約の当事者間で紛争(トラブル)が生じた場合、第1審の管轄裁判所を当事者間で定めておくことが可能です。


(4)契約書に記載してはならない条項


契約書には、法律上の制限として、定めてはならない条項が多数あります。
主要なものは、以下のとおりです。


①公序良俗に反して無効となる条項
公序良俗に反する条項は無効となります。(民法第90条)
公序良俗違反とは、人倫違反・正義道徳違反・人の窮状に乗じるもの・人権侵害、など、社会通念上許容されない事項のことをいいます。
例えば、
・愛人となる約束
・嘱託殺人の承諾
・ギャンブル資金の貸付に関する定め
などの条項はすべて無効となります。

②強行法規に違反して無効となる条項
強行法規の定めに違反している条項は、無効となります。
主要なものとしては、以下のようなものがあります。

(1)建物賃貸借契約に関する更新拒否による解約条項
※例:第○条 本件賃貸借期間の満了時、理由の如何を問わず、借主は貸主に建物を明け渡す。
建物の賃貸借契約においては、貸主から更新を拒絶したり解約を申し入れたりする場合には、正当な理由がなければ認められません。(借地借家法第28条)
(2)金銭消費貸借契約において、法に定める上限を超える高利の定め
※例:第○条 利息は36.5%とし、借主は、毎月末日までに貸主の指定する口座へ振込送金の方法により支払う。
私人間の金銭の貸し借りに関しては、貸付元本に応じ、年率15%~年率20%までの上限利率が定められており、これを超える利息の定めは無効となります。(利息制限法第1条)
なお、私人間の金銭の貸し借りに関しては年率109.5%を超える利息の定めをしてはなりません。(出資法第5条)
また、貸金業者においては、年率29.2%を超える利息の定めをしてはなりません。(出資法第5条2項)
(3)消費者に生じた損害の賠償責任を全部免除とする条項
※例:第○条 本件売渡物件より買主に損害が発生した場合、売主は一切の責任を負わないものとする。
消費者に生じた損害の賠償責任を全部免除する条項は無効となります。(消費者契約法第8条)
(4)その他
その他、労働基準法や農地法、恩給法、などさまざまな強行法規ないし強行規定があります。




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